メディア掲載 【フジサンケイビジネスアイ】ストレスオフ組織の作り方「イメージ共有で主体性を高める」

突然だが“青”という色を思い浮かべてみてほしい。どんな“青”だろうか。絵の具の青もあれば、透き通った海の青、緑に近い信号の青かもしれない-。言葉だけで同じ物事を共有するのはかなり難しく、まして経験や立場が違えばなおのこと。脳科学では女性と比較して男性は共感力や想像力が低いといわれており、男女間のイメージギャップという課題もある。

業務でもストレスを感じることがあるだろう。揚げ句、上司が具体的に指示をするほど部下は完全にやらされ仕事になり、互いのストレスは増長する。こういったジレンマを感じたときこそイメージ共有がいかに重要かを再認識するチャンス。イメージ共有ができればぐんと主体性が増し、その姿勢はストレスオフに貢献するからだ。

ストレスオフ組織を自負する当社では、ビジュアルや共通言語を広く活用している。共感力が高い女性脳をもつ女性社長として、また、筆者ならではでもある。幼い頃、内気で伝えたいことを上手に伝えられなかった筆者は、得意の漫画で仲間から共感を得た。このため言葉だけでなく絵や図で伝えることが習慣化したが、組織のストレスオフに欠かせない個々の主体性の醸成にも非常に役立っている。

具体例を挙げてみよう。当社の「50年事業ビジョン」は、大きな右上がりの矢印にマイルストーンを印したデザインだ。矢印が示すゴールに向かう事業を「客船」、社員や協業パートナーを「クルー」、さらに航路に迷わぬ道標として「ポラリス(北極星)」と名付けた社員手帳があり毎日朝礼で確認する。

また、年に1度、数百人の全クルーが集合する「チーム総会」は汽笛の音を合図にスタート。一年の航海の結果である業績を包み隠さず共有し、良かれ悪かれ、みんなでかみしめるのだ。

顧客とのコミュケーションにもビジュアルでのイメージ共有を役立てる。主力商品のオールインワンゲルを「ゲルくん」とキャラクター化し、愛着が増すよう、さまざまな苦難を乗り越える絵本や動画に。会報誌に掲載される社員やコールセンタースタッフは、ニックネームや似顔絵で顧客との距離を縮める。

いわゆる「ストーリーテリング」の手法だが、主体性を重んじるストレスオフ組織とはとても相性がいい。事業に関わる全ての人が「自分も登場人物の一人なのだ」と実感する主体性の芽生えは、やらされている感や、やり甲斐を見いだせないといったストレスフルな受け身の姿勢からの脱却を意味する。

残業の完全撤廃といった極端なホワイト企業化はできないまでも、ビジョン共有と社員たちの自分ごと化ができていることで、当社のストレスチェックや職場環境への満足度調査の成績はとても良好だ。

「休み方」「居場所」そして「主体性」は、組織のストレスオフの重要なトライアングル。女性脳発想のイメージ共有を、ぜひ実践してみてほしい。(原稿:代表取締役 恒吉明美)