メディア掲載 【フジサンケイビジネスアイ】ストレスオフ組織の作り方「ママ役員が活躍できるCSO」

最高経営責任者(CEO)ならぬ、チーフ・ハピネス・オフィサー(CHO)をご存じだろうか。ここ数年、欧米の企業を中心に広がっている役職で、社員たちの“幸福”に関する最高責任者だ。心動かされたことは実践してみるのが当社の社風。幸福にまでは責任を持てなくても“笑顔”にすることはできる、そんな思いを込めて、昨年からチーフ・スマイル・オフィサー(CSO)を置いている。

CSOはストレスオフで重要な「休み」の“使い方”をアドバイスする。そのベースは「人生計画」のサポートだ。

ある調査によると2007年以降生まれの半数は、寿命107年以上と予測されているとか。筆者は健康寿命ならぬ“笑顔寿命”が大切だと思っている。定年後も笑顔でいられるために、4カ月に1度、CSOとバックキャスティングする機会を設けている。以前は「人生、どうありたいか」とたずねていたが、家の購入や子供の成長などは思い描けても、自分が退職後何をしたいかはピンとこない。そこで質問を「退職後の1日のタイムテーブル」と変えると、「趣味や旅行にどれだけ時間を割くか」「必要な貯蓄は」「今準備すべきことは」と退職後から逆算することで休みの使い方が具体的になった。

CSOは休むペースも提案する。「長期休暇のない3月・10月」「毎月第3金曜日」などいくつかのパターンを用意し、計画的にわかりやすく有休を取得できるようメニュー化した。

それでも休めないときは強制力を持って休ませる。残業時間が月45時間を超えると「オフ活の日」と称した休日の予定をその場で入れさせている。

日々のストレスオフから当社を離れた後までCSOの担う責任は大きいが、ここまで目的を明確にしたのには理由がある。

CSOには産休・育休を経て、その前とは異なる勤務体制を選んだ女性役員が就任している。創業時から一緒に会社を作ってきた仲間で社員たちからの人望も厚い。だからこそ、育児と役員としての責任の間で随分苦しい思いをしただろう。そこで職務を変え、それまでも社員たちの相談役となってきた彼女の能力を「役割」から「役職」に昇格。以前とは違った形で、組織がやりがいの持てる「居場所」になり、互いに貢献感を実感できるようになった。

社会では女性役員の登用が急がれているが、ライフステージごとにさまざまな選択と決断を迫られる女性たちの重責は、他者の想像をはるかに超える。また役員に推挙されるほどの能力や組織に対する愛着は、女性特有の承認欲求を満たすことで何倍もの効果を生む。

個々の特性と向き合いベストなポジションを模索するのは、就任する人数が少ないからこそできること。

女性社員の多い当社では女性脳と相性のいい「ストレスオフ」を用いたが、さて、あなたの組織ではどう発想するだろうか?(原稿:代表取締役 恒吉明美)