メディア掲載 【フジサンケイビジネスアイ】ストレスオフ組織の作り方「特異点」を組織の強みに急成長

成熟による日本市場の縮小、女性の就業率や管理職の増加、IT社会への対応、東日本大震災後の価値観変化…。日本を取り巻く社会的環境は目まぐるしく変わり、組織はますますストレスにさらされやすくなった。これは誰もが実感しているだろう。当社も例外ではない。こんな時代に右肩上がりの成長を続けるには、身も心も削るような日々も過去にはあったし、今も必死に走り続けている。

しかしどんな局面にも「ストレスオフ(ストレスに感じていないこと)組織」であり続けることができた。そう胸を張って言えるのには、理由がある。

大きな自信となっているのは、昨年から厚生労働省が行っている企業に対するストレスチェックの結果。平均値と比較して、筆者自身も驚くほどの圧倒的な好成績を収めることができた。数値のエビデンス(根拠)だけでなく、「皆さん、本当に楽しそうですね」という言葉を多くのパートナー企業や訪問者から掛けられてきた。良好なムードづくりはとりわけ心がけていることの一つ。確かに社内は笑い声が絶えない。社員に無理を強いて心苦しく感じることもあるが、創業以来、片手ほどの離職者もいない。事業のスタートから10年。売上高80億円に対して社員はたったの約30人、明るい笑い声、急成長と反比例する低い離職率。これらは一般的には結びつきにくいだろう。

運営のノウハウをたずねられることも多々あったが、フリーターからスタートし企業に勤めた経験もなく、他社とも比較できない。故にあまりにも無意識的で、その問いに明確な答えを見つけられずにいた。

模索する中で、どうやら「ストレスオフ」が当社の「特異点」であり「強み」だと気がついた。組織のストレスオフが、主体性を持って社員が働く「自転成長型の組織づくり」につながるのではないかと考え始めたきっかけだった。

ところで筆者が開発した化粧品ブランドも「肌ストレスをオフするスキンケア」と、ストレスに着目したコンセプトを掲げている。そこで「肌とストレス」の関係をさらに掘り下げるべく、昨年、脳科学者を顧問に迎えた独自の研究機関を立ち上げた。まず行ったのは、同じ条件の集団にいる女性たちのストレスオフとその傾向を研究するため、都道府県ごとに数値を計測する取り組みだ。これを「ストレスオフ県ランキング」として公開したところ、予想をはるかに上回る大きな反響があった。2016年、みごと第1位に輝いた「ストレスオフな県」は鳥取県。その結果をひもといてみると、興味深い事実があった。女性が母性行動をコントロールする際に多く分泌され、男性の脳内でも分泌されている「愛情ホルモン(オキシトシン)」がストレスオフな環境作りに密接に関係すること。そしてこの結果の中に、筆者が行っている組織づくりと共通するポイントが見えてきたのだ。(原稿:代表取締役 恒吉明美)